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建設業事業承継の概要について(2025/8/10)

承継制度の概要

1)個人事業主からの法人成り

建設業を営む個人が法人を設立する場合(いわゆる「法人成り」)、従来は個人の許可を一度廃業し、新たに法人として許可を取り直す必要がありました。改正後は、事前に認可申請を行うことで、建設業許可番号や営業の実績など、許可業者としての地位を法人に引き継ぐことが可能となりました。

2)事業譲渡

建設業部門を他社に譲渡する場合においても、譲渡会社・譲受会社間で認可申請を行うことで、譲受会社が建設業許可を引き継ぐことが可能になります。たとえば、建設業と製造業を営む会社(譲渡会社)が、建設業許可を求めている会社(譲受会社)に建設業部門を譲渡し、製造業に専念するケースが挙げられます。譲受会社は、新たに許可を取り直すことなく、譲渡会社の許可を承継することで、すぐに建設業務を開始できます。このような手段は、近年活発化している中小建設業者のMAにおいても有効な手段として注目されています。

3)合併(吸収合併・新設合併)

会社の合併には、一方の会社が他方の会社に吸収される形で合併する吸収合併と、複数の会社が合併して新たな会社を設立する新設合併があります。このような複数の合併の際にも、認可制度を利用すれば、承継先の会社が承継元の会社の建設業許可を引き継ぐことができます。たとえば、建設業者許可を持っている会社(消滅会社)と建設業許可を持っていない会社(存続会社)が吸収合併をする場合、存続会社は、消滅会社の建設業許可業者たる地位を吸収合併とともに引き継ぐことができます。この制度は、建設業に新規参入した企業が、すでに許可を持つ会社を合併によって取り込むようなMA戦略にも対応できる点で有効です。また、同じグループ会社の建設業を持っている会社(消滅会社1)と建設業許可を持っていない会社(消滅会社2)が合併し、グループ再編に伴い新たに設立した会社(新設会社)においては認可制度を利用することにより新設会社に消滅会社1の建設業許可を引き継ぐことができるようになります。このように合併により消滅する会社が保有していた建設業許可を、新設会社が引き継ぐことができます。これはグループ会社間の再編や資本戦略においての選択肢となります。

4)会社分割(吸収分割・新設分割)

 会社の分割には、会社がその事業の一部を既存の他の会社に引き継がせる吸収分割と会社が事業の一部を分離し新たに設立する会社に引き継がせる新設分割があります。たとえば、建設業と不動産業を営む会社(分割会社)が建設業部門をグループ会社(承継会社)に吸収分割により事業を引き継ぐことが挙げられます。また、建設業を営む会社(分割会社)が、自社の建設事業を分離し、100%子会社(新設会社)を設立し、新設分割により事業を引き継ぐことが挙げられます。このような会社分割の際にも、認可制度を利用すれば譲受会社が建設業許可を引き継ぐことができます。